約 2,416,512 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/978.html
雲ひとつ無い空、まさに快晴と呼べる日だったがルイズの心は暗かった。 トリステイン魔法学院から少し離れた草原に黒いローブをまとったメイジたちと使い魔が集まっている。 照りつける太陽が、彼らと同じ数だけの黒い影を作っていた。その中にルイズもいた。 そう今はサモン・サーヴァントの真っ最中。 学生たちは使い魔が現れるたびに、歓声を上げては好き勝手な感想を言い合っている。 ここまで少々手間取った生徒はいても、完全に失敗した生徒はいない。そしてとうとう最後のルイズの番となった。 「最後が『ゼロ』かよ。帰るの遅くなるなコレ」 「ここ危ねーな。離れとこー」 「召喚を失敗するに…おれの『魂』を賭けるぜ」 「グッド」 みんな好き勝手なことを言っている。ルイズはそんな雑音をかき消すように自分に言い聞かせた。 (大丈夫。私にだってできる。『信頼』するのよ自分を) そう『信頼』だ。人が人を選ぶに当たって最も大切なことは『信頼』すること。 それはメイジと使い魔の関係にも言えることだろう、とルイズは思っている。 (自分を信じることもできないメイジに、使い魔も仕えたくないでしょ) ルイズは杖を握る手をさらに強める。そして眼を閉じ、集中力を高めていく。 これから召喚されるのがドラゴンだろうが吸血鬼だろうが平民だろうがそんなことはどうでもいい。いやよくないか。 まぁいいや。私が呼び出す使い魔を私は信頼する。そして使い魔から信頼されるために私は自分を信じる。 身体の奥底から力が湧いてくるのを感じる!眼を見開く!呪文を叫ぶ! 一瞬の静寂 そして爆発 青空に向かって黒煙が昇っていく。 25回目の爆発によりいつもより大きめにできたクレーターの回りから、いつもより大きめの生徒たちの歓声があがる。 「すげぇぇ!今の爆発逆にすごくね!?」 「使い魔が月までぶっ飛ぶこの衝撃!」 「だ…だめだ…恐ろしい…声が出ない…ビビっちまって…ヒッ…息がッ!ヒッ!」 真っ白に燃え尽きてしまった生徒もいるようだ。 (そう簡単に成功しないのぐらい想定範囲内よ。そう!コーラを飲んだらげっぷが出るっていうくらい想定範囲内じゃ!) ルイズは多少動揺しながらも、まだ熱気を帯びている前方のクレーターを見据える。 これ以上草原をぶっ飛ばし環境破壊をするのもためらわれるので、さっき作ったクレーターの上に狙いを定めて、26回目の挑戦をしようと構える。 「ちょっと。ルイズ。あれクレーターの真ん中、何かあるわよ」 後ろから声をかけられ集中力が途切れてしまう。振り向くとキュルケがクレーターの方を指差している。 何かあるって、あの爆発に巻き込まれたらみんなヤムチャになるだろう。常識で考えて。 そう思いながらもよく見てみると、煙と砂ぼこりでまだよく見えないが確かに『何か』がある。 小さな箱のような……いやでもあれ使い魔じゃないだろ。常識で考えて。 「キュルケ。ちょっと取ってきてよアレ」 「なんで私が」 「熱いし。微熱でしょあんた」 「微熱でも熱いものは熱いのよ!それになんであたしがあなたの言うこと聞かなきゃならないのよ!」 「ちっ」 すでに褐色の肌なんだからもうちょっとぐらい焼けてもいいだろうに。常識で(ry それは箱ではなかった。片手にすっぽりと収まる程度の大きさの長方形の物体。 丸みを帯びたラインや曲線を重ねたような装飾。そして金属特有の鈍い銀色の光沢が不思議な雰囲気をかもしだしていた。 しかしそんなことよりもルイズを驚かせたのは、それを触った時熱さを感じなかったことだ。 今ルイズはクレーターの真ん中にいる。一応立ってはいられるが汗が吹き出るのを感じる。 しかしこの物体は触ってもひんやりと冷たかった。 (ただのガラクタではなさそうね……) 「どうしたんです、ミス・ヴァリエール? サモン・サーヴァントが成功したんなら早く契約をしてください」 コルベールから声をかけられ、ルイズは手元から視線をはずした。太陽の光をその禿頭で嫌がらせのように反射してくる。 「これは成功したといえるんでしょうか?」 ルイズは思わず握っていた奇妙な物体をコルベールに見えるように掲げた。 しかしそれはコルベールの後ろにいる他の生徒たちにも見せつけることになってしまったようだ。 「なんだ!?『ゼロ』のルイズがとうとう成功したみたいだぞ!」 「でもなんだあれ……生き物じゃないじゃん(笑い)そこらへんに落ちてたの拾っただけだろ(笑い)」 「さすがは『ゼロ』のルイズ!俺たちに(ry」 (うるさい。あんたたちには聞いてない) ルイズは多少イラっとしつつ無視することに決めた。 コルベールが禿頭をかきながら答える。 「契約の儀式をしてみれば分かるのではないかね?ルーンが出ればそれが使い魔。出なければたまたまそこに落ちていたガラクタだろう」 言われてみればそうだ。ファーストキスから始まる~と昔の偉い人も言っていた。 (もしこれが使い魔だったらどうしよう。箱って……箱が使い魔なんて聞いたことありません!とか言えばやり直しさせてくれるのかな。 いや、どうせ『この使い魔の儀式は神聖で伝統があるから』とかなんとか言うにきまってるわ。でも箱って……いや箱ではないみたいだけど) どうかルーンが出ませんように。そう祈りながら唇を近づける。 ルーンでました。しかもコルベールも見たことないレアなルーンだって。 (逆に考えるのよルイズ!とりあえず留年は免れた。ルーン出てよかったじゃないって考えるのよ) ルイズがなるべくポジティブに考えようとしているところに、回りから容赦ない嘲笑とヤジが飛ぶ。 「はははははははは!本当にアレが使い魔なんだ!」 一番笑っているのはかぜっぴきのマリコ…リヌ?だ。その少し横でキュルケもニヤニヤしながらこっちを見ている。 「君たち。もう教室に戻るから準備をしなさい」 コルベールがなんとかまとめようとしているがなかなか言うことをきかない。 ルイズは短く嘆息すると使い魔?をいろいろいじくってみる。 インテリジェンスソードなんてのもこの世にあるくらいだ。もしかしたらコレも……あ、動いた。 いじくっているうちに物体の上部分(どっちが上か下かもよく分からないが)が横にスライドされるように動いた。 中には小さな突起物がある。その突起物には穴が開いていて、何かがそこから出てくるように思える。 ただのガラクタであって欲しくない。その一心でルイズはさらに調べてみる。 「君たち!いい加減にしなさい!遠足に来てるんじゃないんですよ!使い魔の儀式と言うのは……」 コルベールがまだ何か言っているがルイズはもはや聞いてない。 なにか空気の漏れてる音がする……それにちょっと臭い……あ、ここ押せる…… 「うわッ」 思わず上げたルイズの声に最初に反応したのはキュルケだった。 「燃えてるじゃない!」 あまりにストレートな感想のとおり、ルイズの手から火が吹きだしている。 「ミス・ヴァリエール!?火の魔法を!?」 続いてコルベールも驚きの声を上げる。単に火に驚いたのか、ゼロのルイズが魔法を使っていることに驚いたのかは分からないが。 もちろん最も驚いていたのはルイズだった。使い魔から急にすごい勢いで火が出てきたのだ。 皆の注目がコルベールから再び自分に集まっているのを感じる。 「この火は私の魔法じゃありません。この使い魔から」……そうルイズが言おうとしたとき、声が聞こえた。 それはルイズの背後から聞こえた。本当に背中の、すぐ後ろに立っているんではないかというような場所から。 まるで洞穴の奥底から聞こえてくるような奇妙なくぐもった声。とても人間のとは思えない感情の感じない声。 ルイズはその声の発した言葉の意味をすぐに理解することはできなかった。 だがこの声は危険だということ感じていた! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………… 「おまえ…………『再点火』したな!」 と べ continued・・・・ ?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/192.html
法皇は使い魔~第一章~ 今日のトリステイン魔法学院はいつもより騒がしかった。 そう、今日はメイジの一生を決める儀式の日であるからだ。 具体的には使い魔を呼ぶ儀式であり、使い魔とはメイジにとっての一生のパートナーである。 ピンクの髪をした少女、通称「ゼロのルイズ」も例外で無かった。 この少女ルイズは焦っていた。 自分とやたら因縁のあるキュルケや、その友達のタバサが立派な使い魔を召喚しているからである。 人一倍負けず嫌いなルイズはなんとしても彼女等をこえる使い魔を召喚したかった いよいよルイズの番がやってくる。 「どうせ爆発するだけだから逃げろ~」 「失敗するだけだから無駄だぞ~」 「これは魔力の無駄だな」 外野がうるさい事を言ってくる。 きっと見返してやる、ルイズはそう心に誓い叫んだ 「宇宙の果てのどこかにいる私のシモベよ… 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ 私は心より求め、訴えるわ 我が導きに…答えなさいッ!!」 召喚の衝撃による煙がはれ、現れたものは・・・・・・・ 変な髪形をした人間の姿だっただった 「あははは、平民を呼ぶなんて聞いたこと無いぜ」 「さすがはゼロ、真似できないなあ」 「これは失敗以上に笑えるぜ」 実力をもってみんなをアッと言わせるつもりだったが余計に馬鹿にされてしまった。 しかし、召喚してしまったものは仕方がない。ルイズは名前を聞いた。 「あなた・・・名前はなんていうの」 「我が名は花京院典明」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/577.html
私が連れて来られたのは広場だった。対峙する二人を中心にギャラリーが出来ている。一体何をするんだ? 何かキザな少年がキザな感じで薔薇を振るうと女騎士が、いや、その形をした銅像が出来た。何故かは知らんが動いてる。ぶっちゃけ無表情な分、人型スタンドより気持ち悪いな。目の保養にもならん。 少年が命令して銅像が突進し殴ろうとした瞬間、銀髪は盗んで来たテーブルクロスで自分の体を隠し、私の中に入った。 なるほど、さては手品ショーか。確かに私の中に入れることを知っているのはいないだろうし、大勢の観客がびっくりするだろう。現に観客のほとんどがポカンとしている。 しかし相手の銅像に関して誰も驚かんのは何故だ?みんな種まで知ってるんだろうか?私も種を教えて欲しいものだ。 相手も消えたことにびっくりした振りをして、私を見るとまるで計画通りというかのようにニヤリと笑い、私を高々と掲げた。なんか前に似た事された気がするなあ。相手は何か叫んだみたいだが気にしない。手品はオチまで静かに待つものだ。 グサッ! ってナイフ!?血が出てるぞ!!?手品じゃ……… …ははあ、あれだな。ペンで貫いたはずのお札が綺麗なままでしたとかいう奴の類か。 イリュージョンからいきなりやってくれるな。私が観客だったら間違いなく拍手を送るだろう。なかなか面白い奴だ。 私の中から出て来ると奴は相手の少年を何度も蹴り飛ばした。何故かは知らんが多分しくじったんだろう。しかし何もそんなに蹴ることは無いと思うが… 少年が立ち上がり、改めて二人が向かい合うと少年は再度薔薇を振った。計七体の銅像が出来上がる。素晴らしい手品だ。種がまるで分からない。 しかしこのあと、奴がそいつらにフルボッコされ始めた。おいおい、手品じゃないのか?相手が怪我したらどうする! しかし少年の銅像はお構いなしに奴を吹っ飛ばした。やり過ぎだろ! しかもその軌道上に私がいる!ヤヴァイ!激突する! ヤッダバァーーーーーーー……ってあれ? 奴は私に激突せず、ガオンと中に突入した。なるほど!計算済みだったのか!こいつは一本取られたな! 私は奴を見直した。今度から奴とか銀髪でなく名前で呼んでやろう。 しかしそれにしても過激な手品ショーだな。これ位のアクションが無いと最近は受けないのか?体を張る商売になったんだなあ。 そんな事を考えていると奴が外に出た。ようやく続きか?と思うと奴の右手に何か刺さっているのに気付いた。 そしていつの間にか男の側に立っていた『者』を見て、刺さっている物が何か分かった。そしてようやく自分の勘違いにも気付いた。こいつらは手品をしてたんじゃない。 こいつらは闘っていたのか。 思い返せば確かに闘いだなと理解できる。つーことは相手はスタンド使いか?しかしあれは明らかに目に見えるし、複数体いる。でもそんなスタンドもいるかもしれない。紅海とかに。 そこからは凄く呆気ない勝負だった。明らかに奴が圧倒していた。もう少年に勝ち目はなく、浮かび上がり石を打ち続けたがどういう訳か墜落した。 ギリギリの所で助かったから良かったが、地面に衝突して顔が潰れるのも見たかった気もする。少し残念。 こうして銀髪眼帯男ことポルナレフは自らのスタンド『シルバー・チャリオッツ』を取り戻した。それと同時に私達は自分達の精神、いや魂の変化に気付くことになる…。 To Be Continued...?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/882.html
未だに失神しているフーケを馬車の最後尾に乗せる。勿論彼女の杖はヘシ 折ってあった。彼女の足はギアッチョが未だに凍らせてあるが、そのくるぶし から下は見るも無残に砕けている。この有様では国中のスクウェアメイジが 集っても再生は不可能だろう。その惨状にルイズ達は少しフーケを哀れに 思ったが、彼女の所業を思い出してその感情を打ち消した。フーケは、今 キュルケが抱えているこの破壊の杖の使用法を知る為だけに自分達を おびき寄せ、そして使い方など知らないと解るや否や皆殺しにしようとした のである。おまけにその後も使用方法がわかるまでおびき出して皆殺しを 繰り返そうとしていたのだから、正に悪逆無道もここに極まれりといった ところだろう。その上、本来ならギアッチョは容赦なく彼女を全身凍結し あっさり粉砕していたはずだ。オールド・オスマンから生け捕りを指示されて いたからこそ、フーケは今生きていられるのである。両足の粉砕だけで 済んだのは、むしろ僥倖というべきであろう。――もっとも、どう考えても 彼女に死刑以外の判決が下されることはないだろうが。 そういえば、とタバサとキュルケに続いて馬車に乗り込んだルイズは 思った。先ほどギアッチョが珍しく驚いたような感情を露にして破壊の杖を 見ていた気がする。あの驚きようからすると、ひょっとして破壊の杖は 彼の世界の武器なのだろうか。そう思いながらまだ馬車の外にいる ギアッチョを見ると、彼はギーシュに声をかけているところだった。 「おい、ギーシュ」 後ろからギアッチョに呼ばれてギーシュは振り返った。 「なんだい・・・って 僕の名前・・・?」 感じた違和感の正体を口に出して、彼はギアッチョを見る。 「てめーもよォォ 助かったぜ ・・・そしてよくやった」 「・・・よくやった?僕が?」 面と向かって言われているにも関わらず、あのギアッチョが本当に自分に 言っているのか信じられずにギーシュはオウム返しに尋ねた。馬車の上で それを見ていたルイズ達は、思わず身を乗り出して話を聞いている。 「てめーのおかげでシルフィードに気付き・・・そしてあそこを突破できた」 ギアッチョはそう言ってギーシュを見据える。 「てめーの「覚悟」に敬意を表するぜ ギーシュ・ド・グラモン」 ギーシュはしばし呆然としたような表情でその言葉を噛み締めていたが、 やがてスッと姿勢を正すときびすを返して馬車に乗り込むギアッチョの 背中に向けて言葉を返した。 「ギアッチョ・・・君のおかげで僕は今ここにいる 君の全ての行動、 全ての言葉に僕は心から感謝を捧げよう!」 ギアッチョは何も答えなかったが、それでよかった。ギーシュは心の中で 彼にただ敬礼していた。 今度はちゃんと自分の横に座るギアッチョに気付いて、思わず顔が緩み かけたルイズは慌てて下を向いた。が、ルイズはそれと同時にしなければ ならないことも思い出していた。 ちらりと前に眼を遣る。ルイズの対面に座ったのはギーシュだった。 ルイズは口を開くが、言葉が出てこない。自分の為に命を賭けてくれた 彼らに謝らなければいけない、そして礼を言わなければならないのに。 自分のこんな性格を、彼らは理解しているだろう。だけどそれは逃避の 理由にはならないはずだ。拳を血が出そうなほど握り締めて、ルイズが 口を開こうと―― 「礼ならいらないよ」 その言葉に、ルイズは顔を上げてギーシュを見る。 「この世のあらゆる女性を守ることが僕の使命なのさ 僕はその使命を 果たしただけ 礼も謝罪もいらないのだよ」 その相変わらずキザったらしいセリフを受けて、デルフリンガーが言葉を 継いだ。 「俺もいらねーぜ そこの坊ちゃんじゃねーが俺も同じよ 誓いを果たした だけなのさ」 ギアッチョはギーシュとデルフリンガーを交互に見ると、やれやれと言った 顔で最後を締める。 「使い魔の仕事は主人の剣となり盾となることらしいからな・・・オレは 職務を忠実に遂行しただけってわけだ」 その言葉にギーシュがニヤッと笑い、喋る魔剣は陽気に笑った。ギアッチョは そのままルイズへ首を向けて言う。 「そういうわけだ・・・ おめーは黙ってその情けない顔を何とかしな」 そう言われて、ルイズは自分がまた泣き出しそうな顔をしていたことに気付き、 「・・・・・・うん・・・」 彼らへの無数の感謝を心に仕舞い、ルイズはまた顔を下げた。 キュルケはそんな彼らを少し羨ましげに見つめていたが、ふとあることに 思い当たって声を上げた。 「・・・そういえば、皆乗ってるけど誰が運転するのかしら?」 その声に皆が顔を見合わせる。一般的に、御者というのは平民の仕事である。 馬を駆ることはあっても、馬車の運転となればそれはまた違った技術が 必要になるのだった。馬に乗ったことすら数えるほどしかないギアッチョなどは 更に論外である。馬車を捨ててシルフィードに乗るしかないだろうか、と皆が 思案していた時、 「ならばその役目、僕が引き受けようじゃないか」 ギーシュが御者に名乗りを上げた。 「なぁに、こう見えても僕はグラモン家の男、馬車の御し方ぐらい多少の心得が あるのさ」 出来るんだろうなという皆の視線に余裕の表情で答えると、ギーシュは手綱を 握った。 そういうわけで今、一行を乗せた馬車は一路トリステイン魔法学院へと 向かっている。なるほど、ギーシュは確かに馬の御し方に「多少の」心得が あるようだった。あっちへふらふらこっちへふらふら、そのうち路傍の木に ぶつかるのではないかというぐらいテクニカルな運転をしてくれる。 一度などは横転しそうなほどに車体が傾き、「いい加減にしろマンモーニッ!」 とギアッチョに怒鳴られていた。呼び名が戻ってすこぶる落ち込んでいる 様子のギーシュに哀れむような視線を送ってから、キュルケは聞きたかった ことを尋ねることにした。 「・・・ねぇギアッチョ あなたって一体何者なの?」 「ああ?」 「あなたがただの平民じゃないなんてことは誰が見ても解るわ あなたの魔法は どう見ても私達のそれとは違うし・・・あなたはたまにまるで貴族なんてものが いない場所から来たかのような振る舞いをするもの 一体あなたは何者?そして 一体どこからやって来たの?」 キュルケはギアッチョを見つめる。ギーシュは聞き耳を立て、タバサも本を 閉じて彼を注視していた。 「生徒達の間で あなたがなんて呼ばれてるか知ってる?」 「・・・しらねーな」 ギアッチョの両目を覗き込んだまま、キュルケは続けた。 「『魔人』だそうよ」 「なるほどな」とギアッチョは薄く笑う。 「得体の知れない魔法を使う異端者は、貴族でも平民でもないってわけか」 ルイズは周りを見渡す。キュルケ達の眼は、依然一瞬たりとも外れること なくギアッチョに注がれていた。ルイズは最後に隣のギアッチョに顔を向け、 彼が深く黙考していることに気付いた。 ギーシュと決闘をした時、ギアッチョはキュルケに確かにこう言った。「オレが 何者なのか話してやってもいい」と。しかしそれはあくまでさっさと方法を 見つけてイタリアに帰るつもりだったからである。リゾットがどうなったか・・・ 恐らく既に決着がついている今、そしてギアッチョ自身の心が変化を始め、 彼とその周囲との関係が変わって来た今、簡単に自分の正体をバラしても いいものだろうか、と彼は考えている。ルイズは彼に、不穏分子は粛清される 可能性があると言った。キュルケ、タバサ、そしてギーシュ・・・ギアッチョは 彼らと幾度か行動を重ねて理解していた。こいつらはきっと、いつでもルイズの 味方になってくれるだろうと。しかし情報というものはどこから漏れるか解らない。 万一自分の身に何か起これば、自分に依存してしまっているルイズはきっと打ち のめされるだろう。そこまで考えて、ギアッチョは知らず知らずのうちにルイズの 心配をしていた自分に気付いた。バカかオレは、と彼は心中で毒づいたが―― 「・・・今度 話してやる」 結局どうしていいものか判断のつかないまま、彼は答えを先延ばしにした。 キュルケ達は、しかしそれでも満足していた。「今度」話してくれるというのだ。 「今度」、たった二文字の言葉だが・・・そこには様々な意味が込められて いる。今は話せないが、自分達はそれを話すに足る人物だと。いずれ話せる 時が来るまで待っていろと。彼女達は、それで満足だった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1084.html
夕食の時間、シエスタはデザートを配膳していた。 今日は色々あった。ほとんど謎の使い魔がらみだったけど。とにかく疲れた。 あの使い魔は結局気づいたら消えていた。本当に何がしたかったんだろう?嫌がらせ? でもエプロンは返しにきてくれたわけだし、悪い人(?)でもないのだろう。 とにかく今日は早く仕事を済ませて、さっさと寝てしまおう。今日は厄日だ。 そんなことを考えていたら、手前に座る金髪の少年のポケットから何か小瓶のようなものが落ちるのを見た。 すぐにそれを拾い、落とし主であるギーシュ・ド・グラモンに声を掛ける。 こうしてシエスタのその日最大の災難が始まった。 「疲れた…」 ルイズは紅茶を飲みながらぼやく。 半壊の教室の掃除は一人でやるには相当の時間と労力を必要とした。 こんなことならキュルケの手伝いの申し出を受ければよかったかもしれない。 そう思って、部屋を見渡しキュルケの姿を探す。 青い髪の少女と一緒におしゃべりをしているのを発見する。 だがいつもよりその顔色が悪いような気がした。 (もしかしてまだ気にしてるのかな……) 少し罪悪感が心に産まれる。もう使い魔のことを言ってもいいかもしれない。 ただ逃げられたことをどう説明するか……。 「その香水は、もしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」 「そうだ! その鮮やかな紫色はモンモランシーが調合している香水だぞ!」 急にガヤガヤと騒がしくなる。見ると、数人の生徒が集まっていた。その中心にはギーシュとメイド。 ギーシュがなにやら否定の言葉を並べ、その隣にいるメイドはさっきからどうしていいか分からずオロオロしている。 いつものギーシュの恋愛話か。どうでもいいや。 ルイズはさっさと自室に戻ろうと、残りの紅茶をいっきに飲むため、カップを口に持っていった。 「チャンスをやろう!」 「ぶッ!」 リアルに紅茶噴いた。 ギーシュは混乱していた。 メイドに「落としましたよ」と言われ、見るとそれはたしかにモンモランシーから貰った香水。 なんとか誤魔化そうとするも、回りの連中にはやしたてられてしまい、騒ぎが大きくなる。 このままではモンモランシーにもケティにもばれてしまう! 3択-一つだけ選びなさい 答え①ハンサムのギーシュは突如誤魔化すアイデアがひらめく 答え②仲間がきて助けてくれる 答え③誤魔化せない。 現実は非情である 答え-③ 答え③ 答え③…………しかし答えは違っていた!意外!その答えは④! 答え④変な奴がきて誤魔化せない。現実は非常識である 「チャンスをやろう!」 突如聞こえた、異質な声。見るといつのまにかメイドの背後に黒づくめの奇妙な亜人が立っている。 はやしたてていた連中も、メイドも声を失いこの奇妙な闖入者を見ている。 ザ・ワールド!時は止まる! ……………………その世界で最初に動いたのは、亜人と二人の少女だった。 「お前には向かうべき二つの道がある!ひとつは……「ギーシュ様、やはり、ミス・モンモランシーと…」」 亜人のセリフをかき消すようにギーシュに話しかけてきたのはケティである。 「え?ケティ!ち、違うんだ!」 急に話しかけられ反応できない。ギーシュはろくな弁解もできずに、ケティから頬をはたかれるしかなかった。 「もうひとつは!!さもなくば『死への…………「やっぱりあの一年生に手を出していたのね?嘘つき!!」」 また何か亜人が話そうとするが今度はモンモランシーに邪魔される。 モンモランシーはギーシュが何か言う前に、ワインをかけて行ってしまった。 呆然。何が起きた?なんなんだこいつは? ギーシュは亜人を睨みつける。すると、自分が睨まれていると勘違いしたのかメイドがビクっと震えた。 そういえばこのメイドが事の発端じゃないか。 くそうこの平民が!でもけっこうかわいいな。 だがそれはそれ、これはこれ。 「君のせいで二人のレディの名誉に傷がついたんだぞ!どうしてくれるんだ?」 ギーシュがメイドに詰め寄る。 メイドは泣きそうな顔になって、ひたすら謝罪の言葉を並べた。 その平謝りする姿がいくぶん滑稽で、少し優越感を覚えたギーシュはさらに続けた。 「君たちのその黒づくめの格好を見てるとこっちの気分まで暗くなってくる。 平民とはいえ貴族の前に出る時くらいは、もう少しまともな格好をしたらどうだい? …………と言ってもメイドの君の黒いのは、生まれつきだろうから変えることはできないか」 そういって笑うギーシュに、同調して回りの数人の生徒からも笑い声があがった。 「黒いの」 その言葉はシエスタの心を締め付けた。 それは後ろの使い魔の格好と、自分の髪と瞳の色のことを言っているのだろう。 大好きだった祖父から受け継いでいるこの黒い髪と瞳は、珍しい色だった。 それを馬鹿にされるのは、自分だけでなく祖父まで馬鹿にされているようで悔しかった。 シエスタの瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれ始めた…… その時 「それ以上の侮辱は許さないわよ」 シエスタは背後から声を聞いた。 その声の主は使い魔ではなかった。その主人であるミス・ヴァリーエル。『ゼロ』のルイズ。 ピンクの長い髪と、鳶色の瞳。今、その瞳からははっきりと怒りの感情を読み取ることができた。 「ルイズ」 主人を見つけた、使い魔の場違いな声が部屋に響いた。 To Be Continued 。。。。?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/255.html
ナイフの深く潜り込んだ腹の傷は酷かった。 大量の出血と共に、体の中の『熱』が、『力』が、『命』が、冷たい海水に消えていく。そのまま『意識』も……。 これが『死』だ……。 しかしッ、『空条徐倫』は恐怖していなかった。死など恐れていなかったッ! それは既にッ、『覚悟』が出来ていたからだッ!! 「ここは、あたしが食い止める!」 加速する時の中で、恐るべき速さで追撃してくるプッチ神父に対し、徐倫はあえて振り返った。立ち止まり、迎え撃つ為に。 背後で遠ざかっていくエンポリオの声が聞こえる。目の前からは鮫よりも速く恐ろしいプッチ神父が迫り来る。 仲間も父親も殺され、悔いも未練も残して、自分はこれから死のうとしている……しかしッ!! 徐倫は恐怖など微塵も抱いていなかった。 それは既に『覚悟』していたからだッ! 生きる事を諦めるのではなく、ここで死ぬ事を覚悟していたからだッ!! 奇しくも、徐倫は自らの意思でプッチの理論を証明していた! 『覚悟』は『絶望』を、吹き飛ばすッ!! 「来いッ! プッチ神父!!」 霞んでしか見えない死神の姿を捉え、使えるだけの力を搾り出して拳を繰り出し、徐倫は最後の咆哮を上げた。 「『ストーン・フリィィィーーーッ!!!』」 繰り出す拳が敵を捉えるより早く、加速した時の中で死が訪れる。 徐倫の決死の攻撃より何手も速く、『メイド・イン・ヘヴン』の攻撃が徐倫の魂ごと肉体をバラバラに切り裂いた。 首を斬り飛ばされたのか、宙を舞う視界の中、徐倫は最後に加速する世界の空を見た。 ロケットのように流れて消えてく雲。夜明けと夜更けは明滅するように繰り返され、太陽の軌道は線にしか見えない。 そんな加速する世界の中で一つだけ、不思議なものがあった。 きらきらと光る奇妙な『鏡』 それが一体何なのか、理解するより先に徐倫は途中で途切れた右手を伸ばし、そして……。 「あんた誰?」 抜けるような青空をバックに、徐倫の顔をまじまじと覗きこんでいる女の子が言った。 二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た。 そして、空条徐倫が見たものは―――。 ―星を見た使い魔― 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 「間違いって、ルイズはいつもそうじゃん!」 「さすがはゼロのルイズだ!」 (……ちょ、ちょっと待てェー! 何? 何なの、いきなりこの状況ッ!?) 何やら好き勝手騒いでいる周囲のギャラリーの中心で腰を抜かした徐倫もまた混乱の極みにいた。 黒マントなどという見慣れないファッションを共通して身につけた、元学生の自分とそう変わりない年頃の少年少女達が暢気に笑っている。 加速した時の中で全ての物質が風化し続ける混乱など、その平和な光景には影も形も見えなかった。 何より、空は青く、雲はゆるゆると流れ、太陽は輝いている。 (どうなってるんだ? あたしはまた、幻覚でも見せられているのか? それとも、ここは『天国』と呼ばれる場所なのか?) 完全に正常な『時の流れ』の中にあるこの空間で、バラバラになった筈の自分の手足が全くの無傷である事を確認して、徐倫は奇跡を感じるより先に疑惑を感じた。 これは、あるいは何かの『スタンド』の攻撃ではないのかッ!? ……もっとも、既に死に掛けていた自分に攻撃を仕掛ける利点と理由があればの話だが。 そう考えて、徐倫はちょっぴり冷静になった。 「あのォー、お取り込み中のところ悪いんだけど、ちょっと尋ねてもいいかしら?」 とりあえず状況を把握する為、徐倫は目を覚ました時最初に視界に居たピンク色の小柄な少女『ルイズ』に控え目に声を掛けた。 「うるさいわね! その通り今まさに取り込み中なのだから、あんたは黙ってなさい!」 「……そう、ごめんね」 (このガキャーッ! そんなの言葉のアヤでしょうが、質問にはしっかり答えろォー! 張り倒すぞッ!!) これまた時代錯誤なローブを着た中年のおっさんと話し込んでいるルイズに跳ね除けられ、表面は平静を装いながらも、久しく柄の悪いチンピラ根性を丸出しにする徐倫。 徐倫がギリギリ歯軋りしながら、何やら憤慨しているらしいピンクの頭を睨みつけていると、唐突に会話は終わり、ルイズが振り向いた。 「何? 話が終わったんなら、今度はこっちの質問に……」 「あんた、感謝しなさいよね。 貴族にこんなことをされるなんて、普通は一生ないんだから」 「話を聞けーッ! ここは何処でッ、何故ここに私がいるのかッ、さっさと答え……ッ!?」 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 いよいよプッツンしそうになる徐倫を無視して、ルイズは杖を一振りすると呪文を唱えた。 敵意も殺意もない、かといって理解しがたいルイズの行動に一瞬呆気に取られた徐倫は当然のように、次の行動を遮る事も警戒する事も出来なかった。 「え?」 「ん……」 乙女の柔らかな唇が、同じ乙女の柔らかな唇によって奪われた。 何処からかズギューンッという音が聞こえた気がした。 「な、何するのよ!?」 我に返った徐倫は、狼狽しながら後退る。 元は一般人でありながら、数々の怪異に巻き込まれ精神的なタフさを身につけた徐倫だったが、この時感じた衝撃は全く未体験のものだった。 いきなりワケの分からない世界に放り込まれたと思ったら、最初にされた事が同性からのキスなのだ。普通は混乱する。誰だってそーなる、徐倫だってそーなった。 「何って、契約のキスよ」 「契約? 言ってる事が分からない。イカレてるのか、この状況で……?」 「イカレて……っ! 主人に向かってなんて口のききかたすんのよ!?」 「主人んんー? いつ、あたしがあんたの召使いになったって……!」 互いに喧嘩腰になり始めた時、唐突に沸騰するような熱さが体の中から湧き上がり、徐倫は言葉を途切らせた。 「ぐあっ!? ぐぁあああああっ、熱いッ!!」 灼熱の塊が血管の中を駆け巡るような感覚を味わい、徐倫はその場でのた打ち回った。 それを見下ろすルイズが苛立たしそうな声で言った。 「『召使い』じゃない、『使い魔』よ。今、『使い魔のルーン』が刻まれているところだから、待ってなさい」 「刻むなァーッ!! あたしの体に何をしやがった! くそっ、『ストーンフリー』!!」 この熱をルイズの攻撃であると判断した徐倫が自らのスタンドを具現化させる。 しかし、左手に集中し始めた熱のせいか、それとも神父にバラバラにされたせいか、彼女のスタンドは形を成さなかった。ただ、初めてスタンド能力を発動させた時のように指先が僅かに糸に変化しただけだった。 舌打ちした徐倫は、後はただひたすらこの熱が引くのを待った。 一方、喚き散らす使い魔の様子を眺めていたルイズは、彼女の指先がほつれた毛糸のように糸となって蠢く一瞬を捉え、困惑したが、すぐに目の錯覚であると納得した。 「ハァハァ……一体、なんなんだお前らは? 何が、したいんだ……?」 ようやく体の熱が冷め、平静を取り戻した徐倫は随分疲弊した声で呟いた。 何もかもが想定できる範疇を超えている。ただ一つ確かな事は、先ほどの激しい熱さの中で確信した『これは夢ではなく現実』という一点のみだった。 「何がしたいって、使い魔が欲しいのよ」 目の前の少女が、今ようやくまともに答えた気がした。その内容はやはり常軌を逸していたが。 「『使い魔』? あたしは人間よ」 「分かってるわよ。わたしだって平民を召喚する気なんてなかったわ」 「つまり、あんたがあたしをここに呼んだって事?」 「そうよ。不本意ながらね」 そうして、短い会話の中で徐倫はようやく少ないながらも貴重な情報を手に入れた。 これは現実で、自分はとりあえずちゃんと生きているという事。自分を生かし、ここに呼び込んだのが目の前の自分より随分小柄な少女である事。そして、その少女がかなりムカつくという事だ。 (どうやら、あたしはプッチ神父に殺される直前とはまた違ったヘヴィな状況に追い込まれたみたいね。久しぶりに飛びたい気分……) 「やれやれだわ」 父親の口癖だった呟きが意図せず徐倫から飛び出す。 なるべく直視したくない現実が彼女の目の前にあった。周囲を取り囲んでいた魔法使いみたいなマントを付けた学生達が、まさしく魔法使いのように次々と宙に浮いていた。 呆れるほどファンタジーな光景だった。 「本当に飛ばれると、言葉も無いわね……」 「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」 「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」 口々にそう言って笑いながら飛び去って行く。 残された二人の少女は互いに顔を見合わせた。種類は違えど、お互いに相手に対する不審を持って。 「……名前」 「え?」 睨み合いの中、先に口を開いたのは徐倫だった。あの熱が原因か、奇妙な文字の浮かび上がった左手の甲を擦りながら呟く。 「あたしの名前は『空条徐倫』よ。まず、あんたの名前は? そこから初めましょ」 「『クージョー・ジョリーン』 ……『ジョジョ』?」 「そう呼ぶのはママだけだ」 「……わかった。あたしはルイズよ。ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」 「ルイズ……」 『ジョリーン』と『ルイズ』 二人は互いの名前を心の中で反芻した。それはまったく深い意味のない行為だったが、これから長い付き合いとなるこの二人がした、記念すべき最初の歩み寄りだった。 「いろいろと質問があるわ」 「そうね。あんたがなんなのか、わたしもちょっと気になるわ。とりあえず、行きましょ」 「何処へ?」 「トリステイン魔法学院」 言って、ルイズは『魔法使いのような奴ら』が飛んでいった方向を指差した。 自分達が佇む草原の向こうに巨大な建物が見える。石で出来たアーチの門、同じく石造りの中世の造形に似た『学院』だという建物。よく見れば、今いる草原はあの建物の敷地の延長だった。 徐倫がかつて収監されていた、島全体が敷地である『グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所』にも匹敵する広大さだ。 「トリステイン『魔法』学院ね……」 いろいろと思うところのある徐倫だが、とりあえずそれは口には出さない。 自分に付いて来るのが当たり前、とでも言うように彼女を無視して歩き始めたルイズの背中を見つめ、ため息を一つ吐くと、徐倫もまた歩き出した。 最初の一歩を踏み出す瞬間に、奇妙な確信があった。 こんな場所に放り出される前の、多くの心残りを置いてきた状況がもう終わった事なのだと感じ、今この瞬間自分にとって新しい何かが始まりだしたのだと……そんな奇妙な確信が。 向かう先には、ルイズ曰く『トリステイン魔法学院』 石作りの世界。 かつての刑務所と同じように、徐倫が意図せず入り込む事になった、新たな『石の海(ストーンオーシャン)』であった―――。 To Be Continued →
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/792.html
春の使い魔召喚。それはトリステイン魔法学院で二年生に進級する為の儀式である。 その使い魔召喚が出来ないと二年生にはなれないのである。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求めうったえるわ!我が導きに、答えなさい!」 桃色の髪の少女、ルイズは 自らの使い魔を呼び出すために四十三回目のサモン・サーヴァントを唱えた。 そして四十三回目の爆発を起こす。 だが今回は今までの四十二回とは違っていた。 爆発した場所に何かがあったのだ。 ルイズは遂に召喚に成功したのかと思い顔を輝かせた…がそれも長く続かなかった。 そこにいたのは気絶している人間だったのだ。それも着ている服からして魔法を使えない『平民』だろう。 魔法を使えない『平民』は、魔法を使える『メイジ』に逆らえない。魔法はそれほどまでに強力なのだ。 ただの平民を召使にするなら何の問題もなく、雑用等をやらせれば良い。 しかし使い魔とはただの召使ではなくメイジの一生の相棒でもあり、様々な能力を要求される。 普通は動物や幻獣が使い魔となり、人間以上の能力で人間にはできない事をする。 だがメイジと平民ではメイジの方が力が上、そしてメイジにはできない事が出来る者が使い魔としては理想なのだ。 つまり、平民には使い魔にする価値が無いのだ。 それ以前に平民を使い魔にするなんて事は前例すらない。 故にルイズはやり直しを求めた。 「平民を使い魔にするなんて聞いたことありません!やり直しさせてください!」 だがその必死の思いもあっさりと却下される。 「春の使い魔召喚は神聖な儀式です。やり直しは認められません」 「そんな…」 「早くしてください。そろそろ新しい育毛剤が届く頃なので早く試してみたいのです」 つい本音を出してしまう儀式の責任者(ハゲ)。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 そして気絶している男にキスする。 これがコントラクト・サーヴァント。 召喚した使い魔に使い魔のルーンを刻み 主人の都合のいいように記憶までいじってしまう極悪非道な魔法だ。 召喚された男の左手にルーンが刻まれる。 「はい、ルーンが刻まれましたね。じゃあ今日は終了!解散です!」 そう言ってろくに確認することなくトリステイン魔法学院の自分の部屋へさっさと戻っていった。 周りの生徒も平民を召喚したルイズをからかいながら帰っていった。 気絶している男と残されたルイズは何とかその男を寮にある自分の部屋まで運んでいった。 途中、寮の入り口でバッタリ会ったギーシュに部屋まで運んでもらった。 だがギーシュの真の目的は女子寮に正々堂々と入ることだったらしく 運び終えた後、それに気づいたルイズに白い目で見られた。 日が落ち、男がルイズの部屋で目を覚ましたのに気づいたルイズは 「気がついた?」 と声をかけた。 だが男は状況がよく分かっていないらしく(まあ当たり前だが) 「ここは何処なんだ?そしてお前は誰だ?」 と言った。それを聞いたルイズは言葉遣いや『お前』と呼ばれた事に腹を立てながら 自分は魔法を使える貴族で男は自分の使い魔であることを説明した。 男はその話の内容や、ふと目に付いた二つの月からここが異世界である事を理解した。 ちょっと横を向いて歩いていたらいつの間にか目の前に変な鏡があってその中に入ってしまい意識を失った。 そして気がついたら異世界だった。 その事をルイズに話して元の世界に帰る方法を聞いてみても 「そんな方法無いわよ」 と言われただけだった よって男はある『決意』をした。 「どうせアンタは使い魔らしい事は何も出来ないだろうから出来る事をやらせてあげるわ掃除、洗濯、雑用分かった?」 「分かりました。ご主人様」 「いい返事ね。あ、そうそう一応これも聞いとかなきゃね。私に忠誠を誓う?」 「もちろんです」 主人のためならなんでもする。そんな態度だった。 「使い魔なんだしアンタは床で寝なさい、毛布くらいは恵んであげるわ、感謝しなさい」 「ありがとうございます」 ルイズは自分の使い魔の最初の反抗的な態度が無くなり、忠誠を誓った事に気分を良くし、服を着替え眠った。 男には何か策があって床で寝ているのか? なにもない! 見よ! このブザマな主人公の姿を 男は硬くて寝心地の悪い床で粗末な毛布を被っている だが! だからといって男がこの物語の主人公の資格を失いはしない! なぜなら!… 男はルイズが寝たのを確認し、そして部屋を物色して金目の物をいくつか盗みルイズの部屋から抜け出した! まぎれもない主人公!(テーマが主人から逃げる使い魔のため) 主人公の資格を失うとすれば生きる意志を男がなくした時だけなのだ! 部屋を抜け、階段を降り、ホールらしき所に出た。 そこに金髪の男がいた。その金髪は男を見つけると 「おや?ミス・ヴァリエール(ルイズの事)の使い魔じゃあないか」 男には知る由も無いが、この貴族こそが男をルイズの部屋まで運んだ貴族、ギーシュ・ド・グラモンだった。 「平民のクセに貴族に挨拶も無しかい?君は知らないだろうけど君を運んだのは僕なんだよ?感謝の言葉がいくらあっても足りないんじゃあ…」 「うおりゃああああ!」 ギーシュの首元にナイフを突き刺す。首を刺されたギーシュはそのまま絶命した。 一応言っておくが男は殺しが好きな訳ではない、ただ目撃された以上消しておかねば後々不利になるからだ。 もっとも魔法で探知されるかもしれない危険性もあったが、そんなあるかどうかも分からない事で躊躇するほど男は殺しが嫌いな訳でもない。 ギーシュをちょっと見つかりそうに無い所まで運び、ナイフを抜いた。傷口にマントを当てて血が床に流れないようにする。 そして寮になっている塔を出て、馬小屋を見つけ、馬に鞍をつけトリステイン魔法学院を脱出した。 その後は特に語るほどの事は無い。数年の旅を経て金鉱を見つけ、男はある財団を結成した。それだけだ。 その名は『スピードワゴン財団』 ギーシュ―死亡 ルイズ―使い魔がいなくなったため退学。後にゲルマニアで金を使い貴族になったスピードワゴンに会うが、覚えていなかった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/457.html
よく分からない状況だが、とりあえずなんだか素晴らしくヤバイ気がした。 何故って人間が飛んだりする訳無いからだ。そりゃなんか飛びそうな奴らがイタリアにはいたけどさ! そこで私は行く宛もないが逃亡を試みた。が、やっぱり銀髪に捕まった。私を抱えると奴は先を行く小娘の後ろを歩き出した。 何処へ行くつもりだ。離せ!寄生してた分際で宿主に背くか! 私はもがいたが、所詮亀は亀だ。勝てる訳がなく、自分の力では奴から逃れられないのを悟った。 -何?役立たず独身銀髪眼帯男から逃げられない?逆に考えるんだ。『寝ちゃえ』と考えるんだ- …神の声に従い、抵抗するのを止め睡眠態勢に入りそのまま寝ることにした。よくよく考えてみれば、餌が食えればそれでよかろうなんだな……どうせ……今……やることも…………無い………しな………… 目を覚ますと何処かの部屋に連れて来られたようだった。ちょっと前、あのコロネやワキガ男達が暮らしていた部屋に似ている気もするが、やっぱり違う。 大体こんなベッドなんかなかったし。そのベッドの上に例の小娘が、椅子に奴が座っていた。 私が見るまでずっと話していたらしく、小娘は欠伸をした。どうやら眠くなったらしい。 …寝る?確かにベッドはある。しかし、この部屋には一つしかない。まさか恋人じゃないんだし一つのベッドに二人で、なんて事はないだろう。 かと言ってソファなんて物も無い。ということは…まさか… 私は奴を見た。奴はこっちを見ていた。こいつ、私の中で寝る気だ! -私にも拒否権があっても構わないはずだ。というか見返りをもらう資格があってもおかしく無いと思う。つーかよこせ。利用させてる私に感謝しろ。 しかしそのような声が届く訳無く、勝手に利用しやがった。この寄生虫が。 何か一悶着あった後、奴は私の中で熟睡しだしたが、小娘の方はベッドの中で震えていた。何かぶつぶつ言っているので近寄ってみる。 …詳しくは聞き取れなかったがどうやら何かあの役立たずに怒っているらしい。 しばらくすると小娘はそのまま寝てしまった。寝間着に着替えろよ、とつっこみつつ、私は床で寝る気になれないのでのそのそと動きだし、 小娘のベッドの上に載った。そこまで行くとまた睡魔が襲ってきたので、再度寝ることにした。 -別に私以外の誰かがどうなろうと知った事じゃあない。私は私の生活を営むだけだ。…ただ、感謝とかはされたいがな…。つかしろ。 うとうとしながら、そう考えた。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1058.html
ゼロの奇妙な白蛇 第一話 ゼロの奇妙な白蛇 第二話 ゼロの奇妙な白蛇 第三話 ゼロの奇妙な白蛇 第3.5話 ゼロの奇妙な白蛇 第四話 ゼロの奇妙な白蛇 第五話 ゼロの奇妙な白蛇 第六話 ゼロの奇妙な白蛇 第七話 ゼロの奇妙な白蛇 第八話 ゼロの奇妙な白蛇 第九話 ゼロの奇妙な白蛇 第十話 前編 ゼロの奇妙な白蛇 第十話 後編 ゼロの奇妙な白蛇 第十一話 ゼロの奇妙な白蛇 第11.4話
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/779.html
「俺の名はペイジ」 ドォッシュウウウ 「ジョーンズ」 ボシュウッ 「プラント」 ジュウウウウウウウ 「ボーンナム 血管s」 デロリン 「ルン!ルン!ルン!」 ゴシャァアッ 「ズラ!」 ボシ─── 「え!?…オレ? 外に居たのは……おれだったァ── 棺桶の中に居たはずなのにィ~~~~」 ゾバゾバッ 爆音が響き、土煙を巻き上げて何かを呼び出す閃光。 そして、土煙が晴れる度に日光を浴びる度に呼び出した使い魔が溶けて消えていく。 それが今日の『ゼロのルイズ』の『サモン・サーヴァント』の晴舞台であった。 「おいおい、一体何回死なせるんだよ!」 「ゼロじゃなくて死神のルイズか!?」 「十回超えてるじゃねぇェかよぉぉお! なあ、帰っていいだろぉぉおお? なぁぁああ、こく……コルベールの先生よぉぉおお!」 爆発と召還と消滅の一連の動作を遠巻きに見ている外野もいい加減飽きてきたらしい。 最初は囃し立てるような大きな声で野次を飛ばしていたが、 今はもうささやきのようになっている。 「……ミス・ヴァリエール」 生徒に比べて比較的近く、しかし爆発に巻き込まれない絶妙な位置に立っていたハゲが ルイズと呼ばれた少女に話しかける。 「予定時間を考えると今日は次で最後です。 それで駄目だったら、翌日にしましょう。まだ猶予はありますからね」 声を掛けられた少女は、その言葉に一際表情を引き締めた。 ここで失敗したら明日は余計にバカにされると分かっているからだ。 人一倍プライドの高い彼女にとってそれだけは許してはならない事なのだ。 「どーせ駄目なんだからやるだけ無駄だって。 なんせ『ゼロのルイズ』なんだからなァアア!」 最後、という言葉に勢いを取り戻した野次を無視し、 ルイズは呪文を口にし、意識を集中させていく。 「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ…… 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ 私は心より求め、訴えるわ 我が導きに……答えなさいッ!!」 ドッグォオオオン! 何度目か分からない呪文の後、 一際強い爆発と共に派手に土煙が上がった。 ───────ゼロのメイジとアホの使い魔 「んだァ?こりゃあ?」 冬の寒さがいよいよ到来してきた頃、 仗助や康一と『トラザルディー』で昼飯を食っての帰路、 心身共に健康になった億泰は『ソレ』に眉を顰めて無い脳みそを回転させていた。 『ソレ』は家の扉の真ん前に出ていた『鏡』だった。 高さ2メートル、幅1メートルはありそうな楕円形で、しかも宙に浮いている。 スタンド使いならすぐさま警戒しそうな所だが、 吉良吉影が倒されて以来スタンド使いによる目立った事件が無かったために 億泰はすっかりと油断していた。 一般人でもやりそうな何かを投げつけるような行動もせず、いきなり鏡に触れた! 通らないと家に入れなかったため、さっさと潜り抜けようと思ったのだ。 バリィ! 「うっ、うおおおおおおおお~~~~~~~ッ!?」 かつて『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に地下ケーブルへと 引きずり込まれた時のようなショックを受け、 そのまま倒れこむようにして鏡へ飛び込んでしまった! そして絶え間なく続く衝撃に意識を手放してしまう。 油断とはいえこの男、オツムが足りないのだろうか。 「っつ~~~~~~~~」 「あんた誰?」 誰かに呼びかけられた気がして、頭を抱えながら億泰は目覚めた。 まず、地方とはいえ五万三千の人口を抱える杜王町では 見る事のできないような澄んだ空が目に入った。 次に、ピンクが強く出たブロンドの髪をした少女が覗き込んでいる事に気がつく。 よく見ると黒いマントに杖を持っていて、 まるで昔兄貴に読んでもらった絵本に出てきた魔法使いのような格好だ。 遠くにはお城まで聳え立っている。 (おいおい~~~!俺は家の前に居た筈だよなァ~~~! なんだこの状況はよォ。外人さんに囲まれてんじゃねえかぁあ~~!) 「貴族を無視していいと思ってるの! 私が誰かと尋ねてるの!さっさと答えなさい!」 珍しく思考に没頭する事となった億泰だったが、 その女の様子にプッツン由花子を連想してしまい、 ふくらんだ風船が萎んだような気分になった。 答えないのも面倒くさそーな気がして、投げやりに答える。 「俺は虹村億泰…だ」 起き上がりながら周囲を見渡すと、 ルイズと同じような格好をした少年少女と、ハゲ。 そしてその周りには……何体ものモンスターが! 「ニジムラオクヤス?変な名前ね。 一体どこの平民n」 「ってなんだってェーーーーっ!! 『ザ・ハンド』!」 ズギュン! 他の使い魔達を見て思わずスタンドを発現する。 「プッ!」 「アハハハハハ!流石『ゼロのルイズ』だ!」 「フッフッフッフハハハフフフフヘハハハハフホホアハハ」 「ウケッウケッウケコッウコケウコケ ウヒャホコケコケコケケケケケケケケコケコ」 「『サモン・サーヴァント』で平民を! それも頭の飛び切り悪そうなのを召喚したぞ!」 「いや、頭がおかしいんじゃないか!? いきなり叫んでるぞアイツ!」 その様子を見て周囲の生徒で笑いが巻き起こった。 確かに頭悪いのは事実だけどよォー、 としょんぼりしながらスタンドを解除する億泰。 どうやらこの中にはスタンド使いも敵もいないらしい。 その裏でルイズは億泰のスタンド発現に続き、 他の生徒の爆笑のせいで完全にセリフがぶった切られてプッツンしていた。 「ミ、ミミミミミスタ・コルベール! 再召喚させてくだs」 「NO!NO!NO!NO!NO! 君はこの儀式を愚弄するのかね!ミス・ヴァリエール! それも!今日の最後の猶予で! 平民とはいえ成功したならやり直しは有り得ないィイイ!」 だが、更にセリフを潰されながら拒否されてしまった。 「でも平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 「例外は認めないィィイイ! だから彼を君の使い魔にするんだ。早く続けなさい」 さらりと言われ、ルイズは諦めたように返事をした。 「………分かりました」 立ち尽くしている億泰へと改めて目を移す。 180サント近い背に、間の抜けた顔つき。 どうやったって好意的には見れないが、諦めたようにルイズは歩み寄りながら呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 杖を億泰の頭に乗せ、力ずくでしゃがませて額に移す。 「イテ!イテェ!なにしやが…」 (さよなら、私のファーストキス) ズキュウウウウウウウウン! 喚く億泰を無視して!心で涙を流しながらも強引にルイズはキスをした! ただし、一瞬だけ。触れるなり思いっきり突き飛ばすように離れてだが! 「終わりました……」 「………」 ブワァァ! と、急激に億泰が涙を流しだした。 「お、俺が…女の子から…チューされた…?」 スタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃を身をもって味わい、 そんな事で幸せを噛み締めている億泰だったが… 「くぁ!?」 その余韻は左手に突如襲い掛かった熱にかき消された。 焼けた鉄板に押し付けるような熱さに思わず億泰は草原の上を転げまわる。 「あづ、あち、アチィイイ!」 「五月蝿いわね……使い魔のルーンが刻まれてるだけよ」 そう言いつつも、ルイズの心はやっと安堵できていた。 『サモン・サーヴァント』も『コントラクト・サーヴァント』も成功した。 だが、その一方で平民という事実がルイズに重くのしかかっている。 この男が今日召喚された使い魔の中で『最も恐ろしい』という事も知らずに……